ECG ライブラリー [1]

普通の心電図の、解説を記載します。

2017年6月18日 (日)

ECG-242:answer

  WQRSTの緊急診断です。

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 波形としては、VTとしか思えません。でも、なんかおかしい。

 ERでの心エコーでは、心尖部が瘤様に見えました。

 心電図を、落ちついて解析してみましょう。

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RRは、けっこう不整です。

P波が見えません。

 II, III, aVF に、flutter波様の波形有り。

 ベースのリズムは、心房粗動と考えました。

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Wide-QRSは、CRBBBパターンです。とても幅広いです。

ST-T変化としては、V1-3でのST低下は著明です。

 aVR ST上昇は、とても気になります。

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 胸痛とこの異様なwide-QRSからは、ACSを想起します。LMT病変を念頭に起きつつ、心カテ室へすぐに移動です。

 この途中でモニター心電図上のQRS幅は、narrowとなっています。

 なお、リスモダンとメチルジゴキシンの血中濃度は、低値で薬物中毒としての心電図変化は、考えにくいですね。

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 心カテ室に入室直後の心電図です。(PCI前です)

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 心エコーでは、心尖部に小さめの瘤を形成していました。

 Narrow-QRSと、V2-4 でのST上昇を認めます。

 II, III, aVF とV5,6 で、ST低下を示します。

 aVR ST上昇は、続いていますね。

 この段階では、LADの遠位部か、対角枝の梗塞を、心電図からは予想します。(LMT病変は、考えにくい)

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PCI前の冠動脈造影です。

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LAD,#7での完全閉塞です。かなり遠位側ですね。

RCA, LCXは、問題を認めません。

 この部分だけの虚血で、搬入時のようなwide-QRS(CRBBB)が出現するのは、ちょっと考えにくいのですが、実際に起きました。

 今回の教訓は、

flutterを伴う心室内変行伝導では、VTと見間違うことあり 

wide-QRSでは、心電図以外の所見がACSの有無を判定に重要となる 

 

 PCIにて、#7の再疎通に成功しstent留置しました。直後の心電図です。

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 V2-4 でのST上昇は、改善を示しています。ミラーイメージのST低下も温和しくなりました。aVR ST上昇も、同様です。

 今回の経時的心電図波形の時系列です。

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 突然の胸痛・一過性意識障害で、70才代女性が搬入されました。一瞬VTを思わせる心電図です。異様なwide-QRS aVR ST上昇。心尖部に心エコーで心室瘤を認める。ACS前提で、緊急心カテに入りました。

 カテ室では、wide-QRSがすでに治っており、その後PCIは成功しました。

 後日談としては、発作性のAFL,Pafが治らずに、カテーテルアブレーションを他院で施行して頂きました。

 搬入時の心電図が、ACS診断にとって撹乱因子となることが、時々あります。このような場合にも、これだけ悪いのはACSによるのか?との発想を捨てずに、対応しましょう。

 

 胸痛は、ACSでないと確信できるまで、ACSとして扱う 

 ER診療の鉄則ですね。

 胸痛で、時に解釈に困る心電図にぶち当たることがあります。慌てずに、しかし丁寧に対応して下さい。

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2017年6月14日 (水)

ECG-242:70才代女性です。深夜の胸痛と意識障害でした。

 胸痛で目覚めました。水を飲もうと階段を降りる途中で、気を失ってしまいました。家族が救急車を呼びました。気が付いたら、もうERの中でした。まず心電図記録です。

(今、分かっていること)

*30年前に、開胸手術を行ってます。詳細は、本人もわからない(・_・?)。

*不整脈発作がよく起きるようで、近医よりリスモダンRとメチルジゴキシンを処方されています。

*血清K値は、3.5mEq/L (少し後で分かるのですが)

 

Question:心電図診断を、お願いします。


(ERの心電図;その1)

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クリックすると、ECGが拡大します。

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(ERの心電図;その2)

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(ERの心電図;誘導の重なりを外してます)

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2017年6月12日 (月)

ECG-241:answer

 分かりやすい心電図です。でも、一応解説を。

 II, III, aVF ST上昇が、メインです。ミラーイメージとして、aVL ST低下もあります。

 ST上昇は、III>II で、RCA病変を示唆しております。

 V5,6 で、STが上昇しています、よく見ると。

 下壁の急性心筋梗塞です。胸部誘導でのST低下(V2,3,4 付近)は明瞭ではなく、心電図上の後壁梗塞は、はっきりしません。

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 この症例の緊急アンギオの所見です。

 

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 右冠動脈(RCA)の#4AVの99%狭窄でした。PCIで解除しています。

 虚血領域は、下壁/側壁の領域です。あまり大きくありません。


 X+30dayの心電図です。

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 発症時(Xday)と、(X+30day)の比較です。

 

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 X+30dayでは、II, III, aVF の異常Q波と陰性T波が出現しています。

 V5,6 では、STは基線に戻り、V6 に僅かに陰性T波を認めます、よく見ると。

 4AVのみのACSは、回旋枝の末端(#13~#15)のそれと、ほとんど同じ領域です。心電図での鑑別は、困難です。

 最も、普通に緊急のPCIへ持ち込みこんで、確定されます。

 心カテが出来ず保存的に加療するならば、その責任冠動脈の同定はあまり意味を持ちません。

 上記の様に、微細に読まなくても、ACSと瞬時に理解し、循環器医師をコールできれば、心電図の役割は十二分です。

 この様なケースもあるんだと、思って下されば、今回の学びは終了です。



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2017年6月11日 (日)

ECG-241:80才代男性。胸痛です。

 夜の胸痛で、ERに搬入されました。

Question:診断に迷いませんね。

  冠動脈の状態を、推定して下さい。出来れば詳細に。



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2017年6月 9日 (金)

ECG-240:answer

 ど派手な心電図ですね。

 II, III, aVF ST上昇が、メインの変化である事は、ご異議ないか思います。ミラーイメージとして、aVL ST低下もあります。

 ST上昇は、III>II で、RCA病変を示唆しております。

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 この症例の問題は、それ以外の誘導全てで、ST低下を示していることです。V2-4あたりで、ミラーイメージとしてST低下することは、下後壁の急性心筋梗塞では、よくあります。

 この様な II, III, aVF 以外の全ての誘導でST低下するのを、RCA病変のみで説明するのは、難しいですね。

 

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クリックすると、ECGが拡大します。

説明に悩みつつ、緊急カテへ。

 

右冠動脈#2での完全閉塞です。責任病変でした。

STENT留置で、血流を改善させております。

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 前下行枝・回旋枝ともに、有意狭窄を認めています。RCAのACSにより循環動態が崩れ、この二枝の支配領域の相対的虚血が起こり、V1-6と I 誘導のST低下となったようです。

 なお、aVRは明瞭なST-T変化を示していません。チョットだけ、ST低下のようです。RCAは絶対的虚血によるST上昇。LAD/LCXは、相対的虚血によるST低下。この複雑な虚血状況では、aVR君に何かの答えを求めるのは、きっと酷なことなのでしょう。

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 PCI直後の心電図です。

 ST-T変化は、かなり穏やかになっています。II, III, aVF にQ波が出現し始めています。

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クリックすると、ECGが拡大します。

心電図の経時的変化です。

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 II, III, aVF で、陰性T波が出現しています。II 誘導のQ波が減少しているようです。下壁で時々ある現象です。梗塞部位がshrinkするようです。

 V1-3の尖りT波の出現は、後壁の陰性T波の反映です。

 この症例は、後日LAD/LCXの虚血解除の治療となります。

【 三枝病変では、一元的に説明出来ないST-T変化が起きることあり 】

 この心電図、危ないよね!と思えたら合格です(^_-)

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2017年6月 7日 (水)

ECG-240:70才代男性。胸部不快感が続きます。

 70才代男性です。高血圧・糖尿病がベースにあります。

 X-3day日前に、ちょっと右肩に痛みを感じました。

 X-1dayの22時頃、寝ていたら胸部不快発作を感じました。我慢するも全然良くならず、Xday午前1時にERを受診。Walk-Inです。

 診察開始後10分程で、心電図検査となりました。

Question:診断に迷いはありませんね。

  冠動脈の状態を、推定して下さい。詳細に。 


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クリックすると、ECGが拡大します。

 重なりを無くした、3誘導づつの波形も提示します。


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クリックすると、ECGが拡大します。

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2017年6月 6日 (火)

ECG-239:answer

 ERの心電図が、心房粗動であることは、気付かれたかと思います。

  II, III, aVF での典型的波形(鋸歯状波:のこぎり波)。

2:1伝導での頻脈です。

 分かりやすい心電図です。 

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クリックすると、ECGが拡大します。

 入院3病日の心電図:HCUの心電図は、波形が変化しています。

II, III, aVFののこぎり波は、不明瞭です。

V1での心房頻拍様の波形が認められます。

 伝導が変化しており、2:1 4:1となっております。 

外来安定期の心電図:いつも安定していました。

 著明な左室肥大を呈しております。

 心エコーでは、HOCMでした。 

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 カテーテルアブレーション前の心房細動発作時の心電図を示します。 

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 5年間、明らかな頻脈発作がありませんでした。カテーテルアブレーションは、成功であった云えます。

 新たな心房内での発火(re-entry)が起きて、頻脈発作→心不全発生でした。心房細動は抑止されていました。

 心房粗動は、エビデンスは少ないですが、それが続くときの塞栓症発生リスクが高まります。まして、心房細動時の肥大型心筋症での塞栓リスクは高いとされています。心不全発生後です。三段論法ですが、抗凝固療法を再開しております。

 こういう変化を生じた症例を、経験致しました。

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2017年6月 4日 (日)

ECG-239:80才代 女性。呼吸苦での入院でした。

これは、ECG-011と同じ症例の、その後です。

 ECG-011:69才女性。動悸・血圧低下でERを受診。

http://heart2012.cocolog-nifty.com/blogkoko2012/2012/06/e01169er-c8a4.html

 80才代の女性で、呼吸苦を訴えてのER搬入でした。

 元々、HOCMの診断があります。COPDベースです。当院の管理患者さんです。

 以前は、Pafを起こすとshock vitalとなり、ERでDC-shock施行を繰り返していました。

 5年前に、カテーテルアブレーションをPafに対して施行しており、以後安定状況が続いていました。

 呼吸苦が続き、入院となりました。心不全でした。

 

 (A)ER搬入時の心電図。

 (B)3病日目の心電図。

 (C)外来安定期の心電図。

 を、提示します。何が起きているのか、判読されて下さい。

Question:心電図診断を、お願いします。(A)、(B)を主に。


(今回のER搬入時の心電図)

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(入院3病日の心電図:HCU)


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2017年5月21日 (日)

ECG-238:answer

 70才代女性の心電図で、悩みました。 

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II, III, aVF で明らかなQ波があります。STも少し上昇してます。

aVL でのST低下。ミラーイメージでしょうか。

V5,6でのQ波あります。でも、異常Q波とまでは云えない。

 左室肥大を思わせる高電位はありません。

 冠動脈造影を行いました。狭窄性病変はありませんでした。

 左室造影です。過収縮の状況です。

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 Q波の出現は、左心室の総合ベクトルが、その測定部位より離れていくのを記録しています。その成因としては、

* 測定部位が、なんらかの心筋虚血により起電力を失っている。

* 対側の心筋肥大が著明で、電位が引っ張られている。

 のどちらかに、ほぼ収攣します。

 心筋シンチは、相対的な心筋からの放射線量のカウントを表示します。

 血流が減ると、perfusion defectとして表現されます。

* 心筋虚血があれば、放射線の集積が減ります。

* 局在性の肥大があれば、そこに放射線集積され、対側の正常部位がが相対的にカウントが減ります。

 肥大部の集積亢進心筋灌流増加。非肥大部に比べ相対的に集積が高く見えるため。

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  もう一回、心電図に戻ります。 

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 この幅広く、II 誘導まできっちりとあるQ波は、普通は陳旧性下壁梗塞をイメージさせます。他に、考えにくい。

 でも今回の症例は、

 明らかなACSとしてのエピソードがない。

 冠動脈造影では、intact

 左室造影は、左室肥大による過収縮を示唆する。

 心筋シンチでも、左室壁運動は良好。

 下後壁の虚血か、非対称性肥大での下後壁Uptake減少。

 など、HCMとしてのQ波ではないか!と 思わせる所見続出です。

【幅広いII,III,aVFQ波でも、虚血性心疾患でないことがある・・・のでしょうか。。】

 正直、確信が持てないんです(-_-;*)

 こんなこともある、と云う症例提示でした。

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2017年5月20日 (土)

ECG-238:70才代女性。II, III, aVFの異常Q波ですが。。

70才代の元気な女性です。

 心電図を見て下さい。

 II, III, aVFに、Q波がありますね。解釈に困りました。

Question:外来定期受診時の心電図です。どうしましょうか?

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クリックすると、ECGが拡大します。

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