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2016年8月 4日 (木)

ECG-214:answer

80才代の男性で、肺炎でした。

 実は。。。

 この初期研修医のプレゼンは、全てバイアスです。内容はよいのです、心電図所見の見誤りを除けば。。

 プレゼンを無視して、もう一度、12誘導心電図をじっと見て、診断して下さい。

 脱水で、熱発で、食事を三日食べていなくて、呼吸不全ならば、心拍数=136bpmは、仕方ない気もしますが。。

Ecg214eraflforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 臨床症状のバイアスに惑わされずに、心電図だけを見ると、なんかおかしな頻脈です。

 Narrow-QRS-tachycardiaです。となると鑑別は、

*洞性頻脈

*頻拍性心房細動(rapid-Afib.)

*PAT

*AFL(2:1伝導)  たまに、1:1伝導。

 となります。

 私のお師匠様は、(まず、AFLの頻拍から考える)と仰有います。これを見落とさないでね、と云うメッセージだと思います。

 肢誘導の II, III, aVFを、じっと見て下さい。

 (Flutter波が、RRの間と、R波に重なってある。2:1の心房粗動だ)と思って見ると、そう見えませんか?

 そう見えない方のために、ATP静注しながら記録した心電図との比較をお見せします。

Ecg214atp12forweb

クリックすると、ECGが拡大します。

 2:1伝導が、ATPにより4:1伝導となっています。(下部比較図にて)

 もう少し解説しますと、

Ecg214atpforweb

クリックすると、ECGが拡大します。

* R波の中にもう一つのflutter波が隠れている(はずだ!)と思って頻脈の波形を見る。

* よく分からなかったら、ATPを静注しながら、12誘導心電図を記録する。flutter波が分かりやすくなる。

* この症例では、T波とflutter波が重なって、高くなっている部分がありますね。

 ATPは、数十秒で効果が切れますので、静注開始時から12誘導心電図記録を開始するのが、コツです。(記録用紙の節約を考えない!いまどきの心電計なら、メモリーに保存されますけど)

 ERでは、瞬時の判断が求められます。この症例は、肺炎が主体の入院で、心電図は本来脇役です。

 でも、2:1伝導のAFLでした。

 心拍数が136bpmと、やや遅めの2:1伝導AFLであったこと。肺炎・脱水・発熱・呼吸不全と、頻脈の存在を合理化して受け入れやすい病態であったことが、(これって、AFLじゃないの?)との疑問を想起できなかった理由でしょう。第一、忙しくて次の予定に追われていたし。

 結局サインアウトはされず、ATPでAFLの確証を得た後に、除粗動(100J同期)を施行しています。

 皆さんも頻脈を見たら、洞性頻脈と自信を持てるまで、きっちりと心電図モニター・12誘導心電図を、確認して下さい。









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コメント

いつもサイトや本で勉強させていただいています.
AFL,見落とされやすいのか,コンサルトされる時もSTが下がっていて…とか言われて見たら2:1 AFLってことがたまにあります.
本題とそれて申し訳ないのですが,この人のようにいつからAFLになったかわからない人は抗凝固とrate controlだと思っていたので,モニターをみるたびにすごく気持ち悪いと思いながらも1ヶ月くらいはDCしていなかったのですが,DCしていいものなんでしょうか.

( 循環器後期研修医) 様

 当ブログ・本を、ご愛読頂いて、ありがとうございます。
 心電図ブログからは、逸脱しますが、可能な限りご回答させて頂きます。但し、私見てんこ盛りとなることを、ご了解下さい。エビデンス→ガイドライン→ゴール!とは、なかなかならない部分ですので。

 Holter-ECGでよく認めることですが、AFLは私たちの見ていないところで、Afib.化します。時々、洞調律にも戻ります。AFLは、イコールPaf.の可能性が、十分ある訳です。抗凝固療法を行う理由でもあります。

 さらに、AFLの予防・治療(=洞調律化)は、抗不整脈薬では、まず無理です。(すでに、ご存知かと思います。)電気的除細動か、アブカテで、洞調律化を図る事となります。

 十分な抗凝固療法が行われ、エコーで左心耳に血栓がないならば、除細動はありかと思います。一ヶ月間経過観察可能であったのは、レートコントロールで、4:1伝導くらいになっているかと思います。
 だとすると、慌てる必要はないので、アブカテのできる医師・施設に相談もアリと思います。

 ECG-214の症例は、肺炎で状態もよろしくないので、アブカテまで待てず、DC施行しております。肺炎が治った後は再発もなく、炎症改善で不整脈誘因もない状況でした。

 先生の症例が、何らかの理由で(=医学的・社会的)アブカテが困難であれば、電気的除粗動は可能と考えます。状態の悪化で、AFLでの頻脈化もありえます。
 問題は=当たり前ですが=再発を防ぐ保証が、ないことです。


 ECG-214の症例は、肺炎で状態もよろしくないので、アブカテまで待てず、DC施行しております。肺炎が治った後は再発もなく、炎症改善で不整脈誘因もない状況でした。抗不整脈薬なしで観察しております。

 先生の症例が、何らかの理由で(=医学的・社会的・本人の拒絶)アブカテが困難であれば、電気的除粗動は可能と考えます。状態の悪化で、AFLでの頻脈化もありえます。
 問題は=当たり前ですが=再発を防ぐ保証が、ないことです。

 除粗動しても、AFL化を繰り返し、アブカテができない場合は、諦めてレートコントロールに徹するしかないと思います。外来で、十年来お付き合いしているAFLレートコントロールの患者さんもいます。

 結論としては、電気的除粗動は、十分あり得るといたします。貴院の循環器指導医と、よくご相談ください。

 以上、私見てんこ盛りのご回答でした。

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