2019年3月18日 (月)

【コラム-103-ECG GURUより Supraventricular Tachycardia in Pediatric Patient With Wolff-Perkinson-White Syndrome の意訳と図譜の追加です】

Ecggururogologo

https://www.ecgguru.com/ecg/supraventricular-tachycardia-pediatric-patient-wolff-parkinson-white-syndrome

 このサイトは、心電図の教育を目的としており、その目的で自由再利用を許可されています。感謝です。一部を省略しつつ、意訳で提示します。原文は上記へアクセスされて下さい。

 私が追加するコメントと図は、ブルーで表示します。

13才の男子。基本は洞調律。頻拍時の心電図を提示します。

1031ecgguru13msvtwpwecg2dontknowtim

クリックすると、ECGが拡大します。

(頻拍の診断を、お願いします)

     ↓

     ↓

     ↓

     ↓

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     ↓

     ↓

     ↓

 診断は、できましたか?

 矢印の部位に、逆行性P波(retrograde-P`)を認めます。

 よって、WPW症候群によるorthodromic AVRTとなります。

orthodromic AVRT(WPW症候群で、ケント束を逆伝導するSVT)

(筆者による作図) 

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クリックすると、ECGが拡大します。

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Ken Grauer, MD 氏のコメントより。

(この先生の ECG-2014-Pocket Brainと云う著書を、電子本で購入しました。)

13才の男子のnarrow QRS tachycardiaの症例です。

WPW症候群の存在を知らないで、このnarrow QRS tachycardiaの解釈が出来るのか?

(事前の心電図情報が無くても、これがAVRTと確信できるのか。)

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1st-step

 まず、きちんと波形を見てましょう。(血行動態が安定しいるのは、確認してね。)

 洞性のP波がないHR=150bpmのnarrow QRS tachycardiaで、整脈です。この症例では、

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II 誘導で上向きのP波が無い。

I 誘導でflutter様の波があっても、他の誘導ではない。

(II,III,aVFに、F波がありません。AFLは考えにくいですね。)

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 心電図診断は、リエントリー性のSVTが妥当でしょう。

 (SVT : SupraVentricular Tachycardia)

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以前は=今もよく使われますが=PSVTと呼ばれていました。これは、頻回に突然起きる上室性頻拍と云う意味です。

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(PSVT=Paroxysmal SupraVentricular Tachycardia)

〔私的注:発作性上室性頻拍は、成因論なしで、とにかく上室性頻拍になっている状態です。心房細動/心房粗動は除きます。通常は、AVRTとAVNRTの二つを意味しますが、ATも含んだりと、定義が人によって揺らぐという困った問題があります〕

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(AVRT=AtrioVentricular Reentrant Tachycardia)

 =〔または〕AtrioVentricular Reciprocating Tachycardia

(AVNRT=AtrioVentricular Nodal Reentrant Tachycardia)

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 新しい用語として、AVNRTAVRTが、登場しました。

〔私的注:成因論による分類です〕

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 AVRTにおいて、

*Orthodromicは、房室結節を下降するリエントリーのこと。

    →WPWにおける90-95%を占めます。

*Antidromicは、副伝導路を下降するリエントリーを意味する。

 なお心房細動・心房粗動を合併したWPW症候群のリスクは、とても高くなります。

(Afib. AFL → Vfへの移行!!)

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(このケースでの)PEARLは、逆行性のP波をいくつかの誘導で見つけることです。

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 逆行性P波は、下壁誘導(II,III,aVF)で陰性P波を示します。

 そして、aVR & V1で陽性P波となります。

 この五つの誘導で逆行性P波は、よく見つかるんです。

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 RP`間隔(RP` interval)は、相対的に長い!ことに注目します。これは、ケント束を含むリエントリー回路では、AVNRT(房室結節での旋回路)より、大きな=マクロな=リエントリーを形成するからです。

 通常、orthodromic AVRTでは、STの後半部分に(in the latter portion of the ST segment)逆行性P波が出現して、副伝導路の存在を示唆します。

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Jerry W. Jones MD FACEP FAAEM 氏のコメントより。

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 AVNRTAVRTの鑑別は、心電図上での戸惑いをよく生みます。初心者ならずともです。 

 まず、名前が似すぎています。次に、よくよく見ないとリズム・波形もそっくりです。

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 AVNRT(マイクロリエントリー)では、心房と心室の興奮がほぼ同時に起きる。よって、逆行性P波は、ほぼ見えない。(QRSの中に、P`波は埋もれてしまいやすい)

 もし見えるとするならば、小さな s 波(pseudo-s waves)が下壁誘導に、小さな r` 波(pseudo-r` waves)が V1に認められる。

  (pseudo-s waves)は、下壁誘導のQRSの最後くっついて一つにに見える。でも、じっくり見ると、

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you will frequently see a slight "jog" or slurring between the end of the QRS complex and the pseudo-s wave.

(QRS末端に、僅かなブレ・スラーとして、pseudo-s wavesを認める:意訳)

“jog”のよい訳が分かりません(-_-;*)

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 (pseudo-r` waves)は、V1にてS波の最後の上行部に直接繋がった小さなr`波として認める。これは、IRBBBのように思えます。 (IRBBB:不完全右脚ブロック)

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 (pseudo-s waves)も、(pseudo-r` waves)も、QRSのくっついていることを、忘れずに。

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(筆者による作図) 

1033ecgavnrt2retrogradepweb2

クリックすると、ECGが拡大します。

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(筆者による作図) 

1034ecgavnrtecg2retrogradepweb

クリックすると、ECGが拡大します。

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(洞調律化すると、pseudo-r,pseudo-sが消えます。)

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 AVRTでは、旋回路はもっと大きい(マクロリエントリー)。心室の興奮後に、心房の興奮は起きる。それゆえ、逆行性P`波はQRSとは分けて出現する。ST部分のどこかにあるんです。通常はT波の前半に認められます。でも、ST-Tの曲線の中にブレンドされると、よく分からなくなりますね。

 下壁誘導では陰性P`V1では陽性P`I 誘導では陽性/平坦なP`を示すことを、思い出して下さい。

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narrow QRS tachycardiaを見た場合、以下の様に割り切りましょう)

*洞性頻脈(P波の存在に注意!)

*心房粗動(2:1伝導 or 1:1伝導)

*頻拍性心房細動(けっこうSVTと間違えます)

AVNRT

AVRT

◎その他、分からなくてもシャーナイヤロー!!

 最後にAVNRTAVRT鑑別で悩んだときに、上記の二人の達人のコメントを思い出して下さい。

 頻脈時の心電図と停止後の12誘導心電図を、必ず比較してね。

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2019年3月 3日 (日)

その3【コラム-102-Life in The FASTLANEより VT versus SVT 意訳です】

No.3です。今回は、VTの診断最終編です。

1021lifeinthefastlanewevtw

 このサイトは、心電図の教育を目的としており、その目的で自由なアクセス・利用が許可されております。感謝です。

I appreciate LIFE IN THE FASTLANE.

Thank you  Dr Ed Burns.

https://litfl.com/ecg-library/

ECG Library Function

 

LITFL ECG library is a free educational resource covering over 100 ECG topics relevant to Emergency Medicine and Critical Care. All our ECGs are free to reproduce for educational purposes

英語へっちゃらの方は、下記のwebsiteに直接アクセスされて下さい。原文があります。






V6での VT様所見。

*完全にR波の無い陰性波のみ=QSパターン。

10223ecgvtrbbbqswavev6rbbbvt

(ECG-R) from Life in The FASTLANE

*R/S比<1 small R wave , deep S wave →VT

      ( 但し、左軸変異がある場合です)

10224ecgvtv6rsratiorbbbmorphologys

(ECG-S) from Life in The FASTLANE

(R/S比が上記の様にR<<<Sでないと、VTかの判定は難しい。) 

Broad complex tachycardia with LBBB morphology

(LBBB様のwide-QRS頻拍で)

S波の大きなV1にて、次の三つの所見がVTを示唆する。

   *R波の幅が>30~40ms.

   *ノッチやスラーが、S波にある(Josephson`s sign).

   *RS interval > 60~70ms.

10225brugadacriterialbbbvtv12wellen

(ECG-T) from Life in The FASTLANE

*Wellens先生(2001年)のimageより

(厳密な測定値より、このimage自体が大切だと思います)

(この後の実波形の説明は、なんか変??省略しました。原文参照)

LBBB-V6の所見。

LBBB様パターンで、V6にQ(q)waveがあれば、VTを意味する。

*V6のQSパターン(RBBB様の波形を伴いつつ)は、VTがとても確定的です。

10226ecgvtrbbbqswavev6rbbbvt_2

(ECG-U) from Life in The FASTLANE

*V6のqRパターンは、VTを示唆する。LBBBパターンではどんなに小さなq波でもVTを示唆。

10227ecgvtlbbbv6qrwave

(ECG-V) from Life in The FASTLANE

LBBBベースのSVTでは、V6にq波は出現しません。

10228ecglbbbv6absentqwaves

(ECG-W) from Life in The FASTLANE

LBBBでは、q波が無いのがその電気生理的特徴です。

(ココ大切。V6でq波があれば、VTが否定されますね)

More Advanced Tips — The Vereckei Algorithm

Vereckeiのアルゴリズムでは、aVRでのQRS波形の評価が有用なんです。

Dominant initial R wave in aVR  VT

(aVRで、起始部から幅広いR波を呈すると、ほぼVTと云えるようです。)

10229vereckeiavrvtdominantinitialrw

(ECG-X) from Life in The FASTLANE

Dominant secondary R’ wave in aVR → maybe VT

(但し、SVT with aberrant conductionもありです)

10230dominantsecondaryrwaveinavrtca

(ECG-Y) from Life in The FASTLANE

(このR`が上昇する所見は、TCA中毒で特異的です。ER関連の文献に、よく出てきます)

( TCA:Tricyclic Antidepressants 三環系抗うつ薬)

この後ちょっと中略で、、

Conclusion (結論)

多くのVT診断基準は、特異性は高いが、感度が鈍いんです(25-50%)。

 これは、VTの診断基準に合わないからと云って、変行伝導を伴うSVTを否定できる訳ではないんですね。

 

 もし疑うならば、VTとして治療すべし !!!

 この後、練習問題があります。

 ぜひ、websiteに飛んで、チャレンジして下さい。

 https://litfl.com/vt-versus-svt-ecg-library/








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